ハイブリッド・カーの決定的な欠点
ハイブリッド・カーは、エンジンとモーターを組み合わせ、それぞれの特徴を生かして動力性能を向上させているのが特徴です。
それぞれの特徴とは下のような感じです。
エンジンの特徴
- エネルギー量の多いガソリンを利用するため一回の給油で走れる距離が長い
- インフラが整っているので、給油が容易
- 大きな力を発生するが、トルク(加速力)が弱い
- 構造が複雑で部品点数が多い
- 速度の制御が難しい
- クラッチ、始動用バッテリー+モーターなど補助的な機能が必要
モーターの特徴
- 大きな力を用意に出せる。
- 加速力(トルク)が大きい。
- 速度の調整や逆回転など制御が容易
- 構造が簡単で部品点数も少ない
- モーターのエネルギー源である電気を蓄える電池の容量が不足
そのため、一回の充電で走れる距離が少ない
ハイブリッドの特徴
ここで、ハイブリッドの特徴を整理しておこう。
ハイブリッドは、エンジンとモーターの欠点を補いながらお互いの良い部分を引き出すところに特徴がある。
例えば、
- エンジンは馬力は大きくてトルクが弱いので主にモーターの力を力を使って加速する。
- モーターに必要な電力を蓄える電池が弱いので、エンジンで発電して電力を供給する
- 車庫入れなど、細かい動きが必要な時はモーターで制御する
- 停車からの加速はモーターとする事で停車中の燃料消費を軽減
このように欠点を補うことで走行性能のアップ、燃費の向上を狙っているわけだ。
ハイブリッドの決定的な欠点
ハイブリッドの欠点は、この”エンジン+モーター”の組み合わせにある。
すなわち、1台の車にエンジンもモーターも、さらには、エンジンとモーターを繋ぐ装置も必要になってくる。
これは、エンジンだけ、若しくはモーターだけの車に比べれば、自動車を構成する部品の数が多い、そのため、全体の重量も重くなっている。
もちろん構造も複雑で、設計・製造も高度な技術が必要になる。
ハイブリッドの欠点
車の総重量が重くなる
車の重さは そのまま車の走行性能に現れる。
走る、曲がる、止まる、など、全ての動作は軽い方が有利だ。
もちろん、重い分燃費も悪くなっているはずだ。
現在のハイブリッドが燃費が良いと思われているのは、ガソリンエンジンが、相当にエネルギー効率(10~30%程度)が悪いからだ。
エンジンは熱くなるので、かなり熱としてエネルギーが逃げているんだね。
部品点数が多くなる
車を構成する部品が多いという事は、それだけ車が複雑だ。ということだ。
前述のとおり、設計・製造に高度な技術が必要で、その分コストもかかる。
コストという意味では、部品の数はそのままコストに直結する。
部品一つ一つにコストがかかるので当然だ。
筆者は、初期の電気自動車の中を見たことがあるのだが、エンジンに比べると非常にシンプルで、ボンネットの中は余っている空間が広く、エンジンルームはスカスカという感じだった。
現在のEVは複雑な制御で、かつITとも繋がっているので、昔ほど単純ではないとは思うが。
モーターの欠点とは?
前述のエンジンの特徴、モーターの特徴をもう一度見て欲しい。
エンジンの欠点はいろいろある。効率が悪いとか部品点数が多く複雑かつ重いとか・・・。
しかし、モーターの欠点は何だろう?
実は、エンジンに比較して欠点らしい欠点は、エネルギー源を蓄える容量が少ないという点だけなんだね。
突き詰めて言えば、欠点はモーターではなく、バッテリーにあるということ、
逆に言えば、バッテリーの性能さえ向上させれば欠点らしい欠点はないということになる。
そういう意味では、日産のe-powerは、エンジンを発電だけに利用するというのは、ある意味エンジンは”動力源”ではなく”エネルギー源”となり、モーターの優位性を表していると行っていいと思われる。
バッテリー以外に欠点はないのか?
さらにモーター(EV)問題を上げるとインフラの問題があると思うが、ガソリンと違って、電気の場合は自宅でも充電できる。
なので、充電スポットが増加は当然必要だけれども、これはEVの普及を妨げないと思う。
むしろ、ユーザーがガソリンスタンドに全く行かなくなるので、メンテナンスなど十分に管理しなくなってくる恐れが出てくる。
これは、ユーザーの心がけ次第ではあると思うのですが・・・。
EV普及による経済的なインパクト
EVは、ガソリンエンジンに比べると構造が簡単で部品点数も少ない。
ハイブリッドと比べると雲泥の差だ。
構造が簡単で部品点数が少ないとなれば、設計施工も簡単にできてしまうのか?
実は、そうなのだ。
EV(電気自動車)の歴史は長く、むしろガソリンよりも開発の速度が速かった時代もある。
それが進歩しなかったのは、”電池の性能が悪かった”のが理由。
だから電池さえよければEVは、簡単にできてしまうのだ。
例えば、大学のEV研究部やベンチャー企業などでは、試作品が次々に発表されている。
部品はサードパーティから調達できる
「自動車はエンジンだけじゃない。ブレーキもハンドルもあるじゃないか?」という方もいるかもしれない。
確かに、それはそうだが、ほとんどの部品は、現在でも自動車メーカーではなく、下請けのメーカーが作っていて、自動車メーカーは、部品を大量に集めて組み立てているだけ(とは言わないが)のような状態なのだ。
なので、自動車メーカー出身のOBが集まって作ったベンチャー企業ならば、自動車設計ぐらいできてしまうんだな。
アメリカに「テスラ」というEV専門の自動車メーカーがあるけど、こういった後発のメーカーでも十分既存の自動車メーカーと対峙できる時代なんだ。
問題は、”資金”なんだけど、ここが面白いところだ。
”資金があれば自動車を作れる”ということに目を付けた企業が次々に出現しているんだな。
例えば、アップルやグーグル、掃除機のダイソンなんかが、”自動車を作る”と宣言している。
日本では、ヤマダ電機が”自動車を作って売る”と発表している。
もはや、自動車メーカーだけが自動車を作って売る時代ではなくなりつつある。
付加価値を付けなければ大手メーカーのEVは残らない
このような世の中になっている事は、既存の自動車メーカーも十分承知しているはずだ。
アップルやグーグルの挑戦を受けて立つというわけだ。
ここでポイントになるのは、EVにどのような付加価値を付けるか?になるだろう。
「走って、曲がって、止まる」だけでは、ベンチャー企業に対抗できない。
だから今、各メーカーが注力しているのが”自動運転技術”だと思えてならない。
自動運転技術を早期に確立して特許を取り技術を抑えてしまう。
複雑奇怪な技術でガードすれば、弱小メーカーは簡単には参入できない。
既存メーカーのセイフティ・ガードになり得るだろう。
ただ、前述のアップルやグーグルのような、IT関連企業だと逆にこちらの方面に強いかもしれない。
やはり既存メーカーはウカウカしていられない状況なのは間違いないだろう。