現状で考えれば、”EVはエコではない”と考えられます。
では、車としてEVはどうなのか?
EVの選択肢が少なすぎる
2018年前半現在の状況では、”EVが欲しい”と思っても、現実的に選択肢が少なすぎる。
まず、思い浮かぶのが日産リーフ。
正直言って、国産でまともなEVはこれしかない。
国産EV≒リーフという図式だ。
もう一つは三菱自動車のi-MiEV(アイ・ミーブ)だ。
こちらは専用の車体ではなく、軽自動車をベースに作られているため、”普通車が欲しい”という方の選択肢にはなりません。
また、走行距離が最高で179kmと、かなり厳しいのも難点です。
i-MiEVの場合は、通勤、通学、買い物など、かなり使い方が限られてしまうでしょう。
日産リーフは買いか?
事実上、国産車でEVを購入しようと思うと、ほぼリーフしかない状況です。
まず、リーフがお買い得かどうかを検証してみましょう。
ハイブリッドよりEVの方がお得な理由という記事に書いているとおり、EVは税制面で非常に優遇されていて、走行距離当たりの電気代とガソリン代を比較しても、かなり安くなっています。
リーフのオーナーさんの書き込みを見ると、だいたい10km走るのに5~7円ぐらいというのが多いですね。
ガソリンに換算するとかなり安いと言えます。
同クラスのガソリン車やハイブリッドに比較しても、かなり維持費は安くなることが予想されます。
また、日産に限ると、月額2,000円で充電し放題というプランも登場したので、さらに電気代はお得になります。
リーフのデメリット
一方、リーフで良くないところはどこか検証してみましょう。
1回の充電で走る距離が400kmと短い
新型になる度に伸びている1回の充電で走る距離ですが、それでも、まだ400kmと、一般的な乗用車が600km~700km走るのに比べると、短いと言えます。
また、渋滞に巻き込まれるとエアコンなどに電力を取られるため、さらに総経距離が短くなります。
走行可能距離に余裕が欲しいのはこういう理由からです。
充電に時間がかかる
リーフへの充電は、一般的な80%充電でも40分かかります。
自宅で充電する場合は駐車中に充電すれば良いので問題はないのですが、遠出をする場合はちょっと困りますね。
遠出の場合は、充電スポットを利用するのですが、数が少ないため、出発前に”どこで充電するか”プランを練っておかなければなりません。
また、充電に時間がかかるので、別の方が先に充電しているケースもあります。
順番待ちなどになると最悪ですよね。
一人でも待っていると、その方の分と自分の分を合わせて1時間以上待つことになります。
これでは、楽しいドライブも盛り上がりません。
リーフは車としてどうなのか?
一方、リーフを普通の車として考えるとどうでしょうか?
あまり話題になりませんが、リーフも車ですから普通に車としてどうなのか検証してみましょう。
問題はバッテリーの搭載位置
EVにしてもHVにしても、車に搭載する部品で最も大きくて重い物はバッテリーです。
走行距離を伸ばすには大きなバッテリーが必要ですが、あまりに大きいと居住スペースやトランクルームが狭くなってしまいます。
さらに重いと当然燃費(EVの場合は電費)が悪くなってきます。
小さくて軽いに越したことはないのですが、走行距離を伸ばすにはそうはいかないのです。
そのため、バッテリーの搭載位置は車の性能を決めるのに非常に重要だと言えます。
一般的にガソリン車の場合、ガソリンタンクは後部座席のシート下にあります。
EVの場合は、これでは足りません。
なので、多くのEVやHVでは、車体から専用設計にして、バッテリーの搭載位置に工夫を凝らしているのです。
リーフの場合、バッテリーは床下に並べてあるのです。
リーフの足元全部がバッテリーということですね。
床下バッテリーの良し悪し
床下に大きくて重いバッテリーを積むリーフの場合、いわゆる低重心になるので、”操縦性能は良い”という事になっています。
カーブで大きく傾くようなことは少ないというわけですね。
ただ、床下にバッテリーがあってここにスペースを取られるので、その上に乗っかっているものが全体的に”上”に移動します。
着座位置が高くなり、このため天井も高くなり、結果全高も高くなるという訳です。
最近はSUVが人気なので、車高が高いこと自体は抵抗は少ないでしょうが、SUVのように、地面との間にクリアランスがあるわけではありません。
問題は各部品のグレードか?
車全体の設計については、さすがボディが専用設計なだけあって良くできている気がします。
ただ、実際に試乗した方々の感想によると、”同クラスの車に比べると、サスや操舵装置がイマイチ”という声が聞こえてきます。
これは、コストの問題だと考えられます。
EVのように先進技術を多用するとどうしても車両本体価格が高くなってしまします。
このコストを削るために”目の見える部分”でコストカットをやってしまうと途端に販売量が落ちるでしょう。
そこで、目に見えない部分をかなり削っていることが考えられます。
それで安全性が損なわれるということはないでしょうが、少なくとも”運転を楽しむ車ではない”と考えられます。
EVらしさは満載している
とはいえ、インテリア質感やe-Pedal、プロパイロットなどの先進装備が満載されており、”EVらしさ”は十分考えられているでしょう。
多少、割高かもしれませんが、オーナーは十分に満足されるのではないでしょうか?
逆に、こういった豪勢な装備は必要ないので、安く手軽に移動できる車が欲しいという方にとっては、まだまだ”贅沢なわりに不便な車”と思われてしまうでしょう。
要するにそういう車です。
海外に目を向けるとEVも選択肢は広がります
一方、海外に目を向けるとEVもかなり選択肢が広がります。
たとえばアメリカのテスラ。
こちらは、一回の充電で、なんと1,000km走ってしまうという高級車から、SUV、安価なモデル3まで取り揃えています。
実際は生産台数も少なく、手に入れるのは大変ですが、バリエーションが増えていくのは楽しみです。